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理事長挨拶

気道管理学会
〜Protect our patients from hypoxia〜
学会の趣旨

 

浅井 隆

獨協医科大学埼玉医療センター麻酔科 教授

 

気道閉塞や呼吸器障害が起きた場合、気道を管理し、適切な酸素化が必要となります。手術室内に比べ、手術室外、すなわち集中治療室、病棟、外来、そして病院外において気道管理が必要となる原因はさまざまで、それぞれの原因を迅速に同定し、適切な対処が必要となります。そして、症例によっては、気道確保できなかったり、気道確保ができても酸素化ができないこともあります。そのような場合、例えば体外式膜型人工肺(ECMO)を用いて早急に酸素化をする必要があります。しかし、これらの対処が手術室外で必要となった場合には、手術室内の場合に比べ、必要な器具および人員の確保が困難で、気道の管理もおよび酸素化が困難となりやすいことが知られています。

 

 また近年、鎮静下の心臓血管や消化器の内視鏡診療などが積極的に行われるようになってきています。これらの処置時の適切な鎮静法についてはガイドラインなどがありますが、それでも気道閉塞や呼吸抑制などによる低酸素血症が起こることがあります。そのような合併症が起きたときの適切な気道の管理、酸素化などを誰がどのようにすべきかを検討し、それらを速やかに実行できる体制づくりが必要となっています。

 

 院外の心肺蘇生時の酸素化に関しては、現在、有資格者の救急救命士は、気管挿管を含むさまざまな気道管理法の選択肢を持っています。しかし、どの事象でどの方法および器具を選択し、どのように低酸素血症を防ぐべきかの方策を確立していく必要があります。

 

 心肺停止症例に対する適切な処置に関しては、アメリカ心臓学会(American Heart Association)の策定した「AHA心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン」に基づき、医療従事者のみならず、医療従事者でない方々によっても施行されるようになっています。しかし、心肺停止状態となる前の、呼吸トラブルに関する適切な対処をする体制は確立していないと言わざるをえません。

 

 気道閉塞や呼吸器障害はいつどこで起こるかはわかりません。そして医師不在の場所で起こることもしばしばあります。そのため、医師のみならず、看護師、理学療法士、作業療法士、そして医療クラークも含め、すべての医療スタッフが迅速に対処して、低酸素血症から心停止になることを防ぐことができるようになる必要があります。また、病院外においてもアナフィラキシーショックや固形物の誤嚥など気道閉塞が起こったときに、医療スタッフでない人たちも初期対応ができれば低酸素血症になるのを遅らせることも可能となるはずです。

 

 本学会は、“Protect our patients from hypoxia”(われわれの患者を低酸素血症から守る)というスローガンのもと、手術室内外のすべての場所において、どのようにして低酸素血症を防ぐことができるかを検討し、検討して策定した対処法を全世界に普及させるのを目的で発足しました。

 

 医療従事者のみならず、一般の方々の一人でも多くの方が本学会の趣旨に賛同していただき、有効な対処法を検討し、トレーニングなどを通して、低酸素血症から心肺停止状態になることを回避できるようになっていただきたく思います。